第16回 コラボの裏側

「ただ捨てられていくものを、生まれ変わらせる」をキーワードに、廃棄予定の食品を染料として再活用し、ファッションウェアに生まれ変わらせるプロジェクト【FOOD TEXTILE】。これまで数々のファッションブランドとコラボし、ファッション業界のサステナビリティ(持続可能性)を推し進めてきたFOOD TEXTILEが2020年4月に発表したのが、レディースカジュアルブランド【Ungrid】とのコラボ。野菜やハーブから抽出した色で染めたTシャツやタンクトップを発売しました。

今回コラボしたUngridのブランドコンセプトは「A New Class Casual」。女性として生まれてきたことを最大限に楽しみ、カジュアルをベースに自由なファッションをしてほしいという想いを込めて、着心地の良さを追求し、TPOに合わせた心地良い日常を過ごせる服を提案しています。

ファッション業界の中で、サステナビリティ・マインドを持つ企業同士の今回のコラボレーションについて、FOOD TEXTILEプロジェクトを展開するプロジェクトリーダーの谷村様にお話を伺いました。さらに、MARK STYLER株式会社Ungridデザイナー 西部様にもお話を伺うことができました。

※今回は新型コロナウイルス感染症の流行状況を鑑み、対面取材ではなく、メールで質問にお答えいただきました。

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■江戸時代から続く繊維商社が取り組む「フードロス削減プロジェクト」

——まず、FOOD TEXTILEプロジェクトを展開している豊島株式会社とは、どんな会社ですか?

谷村さん:1841年に創業した繊維商社です。江戸時代に、初代の豊島半七が「綿屋半七」という屋号で尾張に繊維問屋を起こしたのがはじまりです。180年近い歴史の中で、時代の変化に応じて事業領域を拡大し、現在では世界各地から原料・糸・生地の買付け・販売を行っています。さらに、最終製品の企画から生産管理、納品まで一連のプロセスを手がけ、日本ファッション産業のあらゆる過程において総合的に事業を展開しています。また、様々なサステナブル素材の開発と提供、そしてテックベンチャー企業への投資やスマートウェアの開発を推進しています。

——FOOD TEXTILEとはどのようなプロジェクトですか?

谷村さん:FOOD TEXTILEは、豊島株式会社と、色の原料を提供する食品企業、その生地で商品を展開するコラボレーション企業の計3社から成り立つプロジェクトです。従来は捨てられてしまっていた規格外の食材や、カット野菜の切れ端、コーヒーの出涸らしなどを食品関連企業や農園から買い取り、食品に含まれる成分を抽出し、それを染料にして染め上げています。

——その中で、ご担当者さまは普段どのようなお仕事をされているのですか?

谷村さん:FOOD TEXTILEプロジェクトを中心に、運営業務にあたっています。プロジェクトのリーダーとして主に営業、マーケティング、開発などを担当しています。

■今、私たちにできることから——FOOD TEXTILE × Ungrid

——今回のコラボ製品について教えてください

Ungrid 西部さん:”今、私たちにできることから”をテーマに、環境にやさしい素材や染め手法を使った商品開発に取り組み、少しずつサステナブルなモノ・コトに取り組んでおります。今回はその一環として”FOOD TEXTILE”とのコラボをさせていただきました。発売の際にはオリジナルタグを取り付け、サステナブルな商品であることを分かりやすく表現しました。

FOOD TEXTILE×Ungirdコラボレーションアイテム
右:フードダイボックスタンクトップ イエロー(レタス)
左:フードダイTEE カーキグレー(エキナセア) 
※カッコ内は色を抽出するのに用いた野菜やハーブの名前

——今回のコラボに対してどんな反響がありましたか?

Ungrid 西部さんフードダイ(※ダイ=染め、食物由来の染色方法のこと)について、今まであまり一般的には認知されていなかったと思うのですが、染め工程に食物が使用されていることやきれいな色合いなどがお客様からも好評で、サステナブルについても興味を持っていただけました。

——今回のコラボを企画したきっかけ・経緯を教えてください

谷村さん:Ungridさんより、昨年末あたりに「サステナブルな素材で商品企画を考えている」とのご要望をいただきました。そこでFOOD TEXTILEをご提案させて頂いたところ、染めの過程や食物から出るきれいなカラーを気に入っていただき、コラボすることになりました。

 

 

 

 

 

食材から抽出したやさしい色みが特徴。自然なカラーなのでどんなスタイリングにもなじみやすい。

——コラボして良かった点、苦労した点を教えてください

谷村さん:良かった点は、サステナブルの取り組みのお手伝いをさせていただけたことです。また、お客様にFOOD TEXTILEを認知いただけたことも良かった点です。苦労した点は、生地値がまだまだ高価なので、お客様が買いやすい価格で提供するために、コストとデザインのバランスを試行錯誤したことです。

■今後のコラボ展開について

——「今後はこんなコラボをしてみたい!」という展望や構想はありますか?

谷村さん:アパレルブランド様だと、欧米のラグジュアリーブランド様が注目をしてくださっていますので、なにか一緒にお取組みができればという思いです。また、今後はファッションだけでなく、家具・自動車・食品企業など、ライフスタイルに根付く業界・ブランド様とのコラボレーションができればと考えています。
当プロジェクトは、倫理的な側面から様々な業界を繋ぎあわせる特徴を持っています。誰もが知るブランド様とのコラボレーションが実現することで、色々な方々にFOOD TEXTILEを知っていただき、「私たちもFOOD TEXITLEと一緒になにかやってみよう」と思っていただけるように認知を拡大していければ嬉しいです。

——今後、コラボしてみたい相手はいますか?

谷村さん:我々が考えていることに共感していただき、拡げていただけるようなコラボレーションは是非させていただきたいと思います。サステナブルをテーマにしている企業様は多く存在しますが、難しく、イメージしづらいものが多いように感じます。衣食住に密接に関わる当プロジェクトだからこそ、消費者に分かりやすく伝わりやすいのだと考えています。

——ありがとうございました。

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■コラボ商品情報
Ungrid https://runway-webstore.com/ungrid/
商品名:フードダイボックスタンクトップ
カラー: アイボリー(エキナセア))イエロー(レタス)カーキ(エキナセア)パープル(ブルーベリー)
サイズ:FREE SIZE
価格(税抜き):4,500円

商品名:フードダイTee
カラー:アイボリー(エキナセア)イエロー(レタス)カーキ(エキナセア) パープル(ブルーベリー)
サイズ:FREE SIZE
​価格(税抜き):5,000円

販売開始日:2020年4月15日
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●参考URL

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000027658.html

https://www.foodtextile.jp/project.html