第8回 コラボのウラガワ

ガリガリ君でおなじみのアイスメーカー、赤城乳業株式会社が、セ・リーグ3連覇をはたした広島東洋カープとコラボを実現。中四国エリア限定の新パッケージに、カープのキャラクター「カープ坊や」が登場し、話題になっています。なぜ中四国エリア限定のコラボにいたったのかなどのお話を、赤城乳業マーケティング部の中島一輝さんにお聞きしました。

──まず、赤城乳業さんはどのような会社ですか?

アイスの開発、製造、販売をしています。創業は昭和6年までさかのぼります。いまでは深谷と本庄の2カ所の工場をメインに、各地の工場の協力のもと、全国で販売しています。おかげさまでガリガリ君は、全国ほとんどのコンビニに置かれるようになりました。

深谷にある赤城乳業の本社。遠くからでも目立つ独特外観

──そのなかで中島さんはどんなお仕事をされているのですか?

マーケティング部に所属しているのですが、じつは私自信はガリガリ君の担当ではありません。メインでは「ガツンとみかん」や「パフェデザート」などを担当しています。仕事内容としては、プロモーションをはじめ、実際に作られた商品を弊社の営業に案内することもします。開発と営業の橋渡し役ですね。

──さて、今回のコラボ。どのような経緯で企画されたのですか?

赤城乳業は東日本ではかなり認知されているのですが、じつは西日本ではまだまだ努力が必要だと感じています。そこでまずは広島を中心に中四国エリアにおいて認知を広めるために、このコラボが企画されました。中四国エリアでのカープの影響力は大きいですから、このコラボ商品も中四国エリアのみで販売しています。

プレスリリース時に使用されたスポーツ新聞風のイメージ。
市民球団なので消費者との距離感が近いことも、コラボに至った理由

──カープといえば、いまや全国的な人気を誇る球団です。そんななかであえて、中四国エリア限定にした理由は?

全国規模のプロモーションももちろん大事ですが、いまはそれだけでは不十分です。昨年、「ガリガリ君より売れてないのに20周年」というコピーで、ガツンとみかんのプロモーションを実施しました。サンプリングを無料で配布するなどしたのですが、地域によって、商品認知度の差がかなりありました。差があるのに同じキャンペーンをして効率がいいかどうか疑問を抱いたので、「この施策をするならこのエリア」と各地域でわけたほうがいいと思いました。なので、今回のコラボはあえて中四国エリア限定にしました。本当は大阪などの大都市を含む関西エリアを入れてもよかったのですが、やはり阪神タイガースが強い地域ですから。これでは地域差が出てしまう可能性があったので、エリアからは外しました。

──あえてエリア限定のキャンペーンにしたんですね。

じつはガツンとみかんは、ガリガリ君シェア率が高い札幌、仙台などの東北地域では、なぜか弱いんです。商品によって得意、不得意な地域もあるんです。

──微妙に消費者のニーズが違うんですね。ということは、中四国エリアはガリガリ君の認知度をアップさせる余地があるということですか?

そうですね。先ほども言ったように、中四国エリアにおけるカープの市場価値は非常に高いです。今回のコラボを実現するにあたり、実際に広島駅などを見てきたのですが、カープグッズだけで店舗に棚ができていて、いまでも試合の視聴率は30%を超えることがあるといいます。

──発案者は中島さんですか?

発案自体は、弊社の広島支店の営業です。昨年、広島支店向けに新商品の説明会の機会があったんです。そのときに、広島支店の営業から「コラボ企画を提案したい」という声があがりました。弊社は本社が埼玉県の深谷にあります。テレビCMなどを使って全国共通のプロモーションはしているものの、それぞれの地域性は深谷にいてはなかなかわかりません。なので、会社としても、支店の人にアイデアがあれば、どんどん提案してもらうようにしています。

──実際にコラボを発表して、反響はいかがでしたか?

ねらいどおり、広島県、山口県を中心に店舗への導入率がかなり上がりました。中国エリアで展開する小売店は、本部を広島に置く場合が多いので、中四国エリア全体で見ても上がったと思います。

──今回のコラボで苦労した点はありましたか?

それほどないのですが、しいていうなら準備期間が短かったことですね。本来は半年前くらいにはサンプル品が出来上がっていなければいけません。しかし今回は、シーズン開幕前に間に合わせなければならなかったこともあり、実質1ヶ月ほどしかありませんでした。

──これまでのプロモーション戦略と今回のコラボ、違いはありますか?

ガリガリ君ではいまでもさまざまコラボをやっていますが、じつはこれまでは全国展開が基本でした。

──これからは地域に特化していくのでしょうか?

そうしていきたいとは思っています。あえて都市に出ず、地方に残っている人のためにも、ファンを増やしていきたいです。

──今後どんなコラボをしたいと考えていますか?

ガリガリ君だけではなく、さまざまなブランドでコラボ企画をもっとしていきたいと思っています。今回は味も既存のものですし、コラボしたのはパッケージ上のみです。当然それだけがコラボの手段ではありません。弊社では、たとえば、青森のねぶた祭に合わせて、ガリガリ君がモチーフのねぶたをつくったことがあります。イベントに合わせて商品を無料で配布するキャンペーンもよく実施します。くまモンとのコラボで「九州みかん」や「瀬戸内レモンスカッシュ」、「あまおういちご」など地域の特産を取り入れたフレーバーによるコラボも多いです。
あとは、おもしろくてだれでも参加できるようなイベントをしたいです。弊社ではチョコミントというアイスも販売しているのですが、チョコミントは関西では「歯磨き粉の味がする」と言われることが多いので、「本当に関西ではチョコミントが嫌われているのか?」というテーマで、サンプルを配布して検証をかねたイベントも実施しました。あとは、地域特化している企業にパッケージやプロモーションで力を借りてやっていきたいですね。

──なるほど! アイデアが豊富ですね。

会社のスローガンは「あそびましょ」です。もちろん普段は真面目に仕事をしていますが、遊ぶところは遊ぶ。真面目のなかにも、遊び心を入れることは忘れません。

本社エントランスの階段にはガリガリ君おなじみのあのマークが

──ありがとうございました!