第10回 コラボの裏側

サブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービス「AWA(アワ)」が、アパレルブランド「WEGO(ウィゴー)」とのコラボレーションアイテムを発売中。原宿竹下通り店、心斎橋店、札幌店、大須店、天神コア店、ウィゴーオンラインストアで展開しています。また、今回の協業に際し、WEGO店頭では、AWAで配信しているアーティストをフィーチャーしたヴィジュアルポスターの掲出や動画のモニター配信もしています。今回で第4回を迎える、シリーズコラボのきっかけや詳しい内容について、AWA株式会社のコンテンツ&プロモーショングループに所属する石本祥恵さんにお話を聞きました。

──まず、AWAさんはどのような会社ですか?

株式会社サイバーエージェントとエイベックス・デジタル株式会社の合弁会社で、サブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービスのAWAを運営しています。AWAは現在、洋楽と邦楽を合わせて世界最大規模の約5500万曲を配信しています。数多くある音楽サービスの中でも、AWAの特徴は、「プレイリスト型で聴く」という点です。ユーザーが自分でプレイリストを作って、公開することができ、アプリ内のユーザー同士が知らないユーザーのプレイリストを聞き合うことができます。現在では、著名人およびユーザーが作った約1100万のプレイリストがアプリ内に存在しています。

─そのなかで石本さんはどんなお仕事をされているのですか?

コンテンツ&プロモーショングループに所属し、企業とのアライアンス(コラボ事業)をメインに行っています。そのほかには、新プラン「アーティストプラン」の販促にも力を入れています。今年の4月から開始したサービスなのですが、「月額270円で好きなアーティスト1組だけ聴き放題」というものです。日本ではまだまだ「好きなアーティストだけ聴ければいい」というニーズがあるので、そういった人たちに向けたサービスになっています。

─AWAさんが他社さんとコラボに力を入れている理由はなんですか?

やはり幅広くユーザーを増やしたいという点です。競合の音楽サービスは、Apple、LINE、Google、Amazonといったグローバルで大きなプラットフォームをもっています。そのプラットフォームに、たくさんのユーザーが滞留しているため、そこから音楽サービスに引き込むという大きな流入導線をもっているんです。しかし、AWAはスタンドアローンでやっているため、バックにある大きなプラットフォームがありません。そこで、国内の企業さんとコラボさせていただくことで、コラボ先のファンの方々にもAWAを知っていただくきっかけを増やしています。

──さて、今回のコラボ。どのような経緯で企画されたのですか?

サイバーエージェントが運営している「AbemaTV」がもともとWEGOさんとコラボをしていたんです。その流れで、AbemaTVのアライアンス担当の方がWEGOさんを紹介してくれたのがきっかけです。その後、こちらから企画のご提案をして、受け入れていただきました。もともとは、特定のアーティストと組んで、そのアーティストとAWAのコラボグッズをWEGOさんに作っていただくという企画でした。しかし、WEGOさんから「AWAのシンプルなロゴを使ったアイテムを、いろいろなアーティストでシリーズ的にビジュアル展開する」という逆提案をいただいて、とても良いと思い、実現に至りました。

AWAのシンプルなロゴが入ったアイテム。

 

──現在で第4弾となりますが、アーティストを選ぶ基準はありますか?

「旬なアーティストをいち早く届ける」ことを大切にしています。実際にいままでWEGOさんとコラボしたアーティストが徐々にTVやフェスに出てきて、注目され始めています。また、極力ですが、WEGOさんがいままで組んできていないようなアーティストを選んでいます。ただ、そのときどきによって手を挙げてくださるアーティストさんは異なるので、状況次第で選ばせていただいています。

 

シリーズ第4弾のアーティストは、踊Foot Works。

 

──今回のコラボのコンセプトはなんですか?

今回はレーベル(アーティスト)とAWAとWEGOさんのトライアングルの座組だったので、そこに関わる全員がハッピーになれるように、ですね。

──それぞれのメリットがあるコラボだったんですね

はい。レーベルとAWAにとってのメリットは、感度の高いティーンに訴求できることです。WEGOさんは、店舗が全国に約160店舗あり、そこに感度の高いティーンが集まってきます。そこには、店内モニターが設置されているので、アーティストのミュージックビデオを流すことができます。また、SNSにも力を入れていらっしゃり、このように、リアルとWeb双方で強みをお持ちです。一方、WEGOさんにとってのメリットは、WEGOさんが今までされてきたようにアーティストと直で組むのではなく、AWAと組み、定常的に企画をやっていくことで、音楽コンテンツの説得力が増したことです。三者それぞれのメリットがバランスよく成り立っていると思います。

 

 

──実際にコラボを発表して、反響はいかがでしたか?

やはり、いままでとりあげてきたアーティストに紐づくファンの子たちが反応してくれましたね。例えば、第2弾の「まるりとりゅうが」の場合、彼らが着ていたフルコーディネートでイベントに行こう、といったツイートを見かけました。ティーン世代なので、SNSでの反響が大きいですね。

──今回のコラボで良かった点はどこですか?

単純にレーベルさんもWEGOさんも喜んでくれています。私たちは日々レーベルさんと接しているので、彼らが推したいアーティストを、どうAWAとして盛り上げていくかということを常に考えています。当然、AWAの中でできることをいつも試行錯誤ご提案していますが、AWA単体では実現できないことも多くあります。しかしWEGOさんのような企業とコラボすることで、より拡がりのある形でアーティストのプロモーションに貢献できる。それが、AWAの価値を高めていると思います。

──今回のコラボで苦労した点はありましたか?

本当にないですね。 両者が欲しいと思っているところが補い合えていると思います。数多くのコラボ企画を経験してきましたが、ここまで各々のメリットがバランスよく成り立っているコラボはあまりないですね(笑)

──今後どんなコラボをしたいと考えていますか?

大きく2つあります。1つは、ダイレクトにAWAのユーザーになっていただけるコラボです。つまり、コラボ先の企業さんのサービスのオプションにAWAを入れていただくような形です。現在は例えば格安SIMのmineoのエンタメオプションにAWAを入れて頂いています。もう1つは、音楽と親和性が高いものとの組み合わせです。音楽は何かと組み合わせやすい、逆に言うと、何かと組み合わされていないと興味をもたれにくい側面があると思っています。音楽がいいと思う瞬間は、好きなドラマや映画の主題歌を聞いて、そのときの感動を思い出したり、フェスに行って友達とお酒を飲みながら幸せな気分なったり、というのが多いと思います。このように、自分の好きな体験に音楽が紐付き、AWA を使おうとなってくれるのが理想ですね。

理想的な例だと、いま行っているb-monster(暗闇の中で行うボクシングフィットネス)さんとのコラボがあります。そこに通う生徒さんたちは、音楽に合わせて45分間、パフォーマーの先生の動きを真似して動きます。しかし、途中でかかった曲が好きなテイストだったけど曲名がわからなかったり、熱心な生徒さんは家に帰って復習したいというニーズがありました。そこで、フィットネス中にかかっている音楽をAWAでプレイリスト化しました。音楽が絡んだ何かの体験から音楽そのものに興味を持ち、自然と、AWAの利用に繋がっていく。今後もそういうコラボができていくといいなと思います。

──ありがとうございました!